日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-074
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4. 臨床・障害
修学不適応感を持つ大学生に対する認知行動療法の効果
*小川 さやか矢内 希梨子田山 淳
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抄録

【問題と目的】大学の休退学者の中には,修学に関して不適応感を感じている学生が多い。国内外の大学において抑うつ予防の認知行動療法が行われているが,修学不適応感の緩和を目的としたプログラムは開発されていない。そこで本研究では,認知行動療法が大学生の修学不適応感を緩和するという仮説検証を行った。

【方法】同意の得られた40名にe-learningを用いた全6回の認知行動療法を実施した。質問紙に回答をした34名(平均年齢19.5歳)を分析対象者とした。調査項目は,修学不適応感尺度,抑うつを測定するBDI-II,精神的健康度を測定するGHQ-28を用いた。介入前と介入1ヶ月後で対応のあるt検定を実施した。本研究は長崎大学の倫理委員会の承認を得た。

【結果と考察】修学不適応感を持つ大学生に対し認知行動療法を実施した結果,34名中22名に修学不適応感の改善がみられたことから仮説は支持された。介入前に比べ1ヶ月後のBDI-IIおよびGHQ-28は有意な減少を示した(BDI-II: t=8.18,p<0.0001, GHQ-28: t=5.24, p<0.0001)。認知行動療法により修学不適応感とどのように付き合うか考える機会となり,抑うつ感の改善と精神的健康の改善に影響したと考えられる。

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