日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-079
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4. 臨床・障害
高齢者の主観的幸福感と他要因との関連についての検討
*渡邉 弘安村 明
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抄録

高齢者の主観的健康感尺度(The subjective well-being inventory: SUBI)と関連する背景因子の分析を目的とする横断調査を実施した。対象は介護老人保健施設を利用する要介護高齢者28例である。健康感の尺度は被験者の主観的な評価であるSUBIを使用し,背景因子として三宅式記銘力検査,QOL26,持続処理課題を測定した。その他の因子として年齢,性別,要介護,認知検査,知能検査を行った。分析の結果,自己健康感と三宅式記銘力検査に有意な正の相関関係が認められた。したがって,自己健康感を維持するためには,記憶の記銘,保持,再生を促す取り組みが重要であることが示唆された。また,自己健康感と持続処理課題の平均正答時間とそのばらつきに有意な正の相関が認められた。これは,健康感の維持に認知機能として情報処理と動作の速度に関する介入が有効であると考えられる。さらに,QOL26と持続処理課題の正答数に正の相関がみられ,QOLと誤答数,見逃し率に各々に負の相関が認められた。したがって,社会的・環境的に自己健康感を維持するためには,持続的に課題を行う正確性が高く,衝動性が低下させる取り組みも重要であることが示唆された。

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