日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PD-110
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4. 臨床・障害
自閉症スペクトラム障害児者の感情制御尺度作成の試み(2)
*松﨑 泰川島 隆太
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抄録

自閉症スペクトラム障害(ASD)児者の感情制御に関して,感情の下方制御のための認知的方略の使用困難,怒りや恐怖の強さ,共感の苦手さといった特徴が指摘されている。本発表ではASD者の感情制御の特徴について評価するための簡易的チェックリスト作成の一環として,ASD者の感情制御の特徴についてクラスタリングを行った結果を報告する。重症度指標等による除外基準を経た20名のASD児者(6-15歳)についての親回答質問紙を分析対象とした。質問紙には感情制御,ASD症候,問題行動に関するものが含められた。感情制御に関する質問紙への回答について主成分分析を行った結果,(1)感情の落ち着きにくさ(2)怒りの表出の多さ(3)共感的反応(4)感情制御方略使用困難(5)不安の強さに関する5つの主成分を採用した。主成分得点についてクラスター分析を行い対象者を3のクラスターから解釈した結果,感情の立て直しに難しさが顕著である群,怒りや不安のみでなく共感の表出が多い群,特に不安の強い群といったクラスターの特徴があり,ASD児者の感情制御が一様ではないことが示唆された。今後の課題として対象者数を増やし,個人差について背景要因を検討していくことが望まれる。

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