主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
【背景・目的】高齢者の特徴に即した詐欺被害防止活動を進めるため,本研究では,認知機能が低下した高齢者でも利用出来る詐欺脆弱特性尺度を作成し,詐欺脆弱特性と心理社会的要因と認知機能との関連性を明らかにする。
【方法】認知機能低下高齢者50名(平均79.42歳,SD=5.44)と健常高齢者51名(平均76.12歳,SD=5.82)を対象に,性別,教育年数,IADL,居住・所得・外出等の背景情報,各種神経心理学的検査,認知症重症度,各種心理尺度,詐欺脆弱特性尺度,意思決定に関する面接調査を行なった。
【結果・考察】詐欺脆弱特性尺度は先行研究を参考に作成し,6項目4件法(例:うまい話に興味がある)で構成された。各群で詐欺脆弱特性尺度の合計点を従属変数に,その他上記変数を独立変数にした階層的重回帰分析を行った。その結果,認知機能低下群で詐欺脆弱特性に影響していたのはADAS合計点(β=-.46,p<.001)に次いで性別(男性;β=-.29,p<.05)であった。健常高齢者群で詐欺脆弱特性に影響していたのは性別のみ(男性;β=-.31,p<.01)であった。これらの結果は認知機能が低下した高齢者では,ADAS合計点が低いと詐欺脆弱特性が高いことを示唆する。