主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
本研究は,医療少年院における法務教官と非行少年の信頼関係構築過程と,その過程の中での法務教官と医療スタッフとの連携ついて検討することを目的とした。非行少年に直接処遇を行っている医療少年院法務教官10名を対象とし,1人あたり40~60分の半構造化面接を行った。その結果,医療的関わりの頻度の高い3事例からは,①医療少年院に入院し法務教官と出会う,②命に係わる不適切な行動をとる,③状態が回復・安定する,④環境に安心する・生活が安定する,⑤適切な方法で自己表現する,⑥他者の考えを受け入れる,⑦自分や人のためにできることが増える,という過程が,医療的関わりの頻度の低い7事例からは,①医療少年院に入院し法務教官と出会う,②反応や表情が乏しい・こわばっている,③弱みを見せない・隠そうとする,④反応や表情が和らぐ,⑤望ましい行動が増える,⑥本音や弱音を言ってくる,⑦他者の考えを理解・受容する,⑧自身の課題や役割に自発的・意欲的に取り組む,という過程が共通して見られた。その中で,法務教官と医師は情報共有を基本とし,少年の特性に応じて,互いの専門領域の補助や,少年の要望に対するすり合わせを行っていることが示された。