主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
顔面上の可視的差異を眼帯やマスクなどで隠すことがある。顔の一部が遮蔽された状況では,相貌印象はどのように変化するのかを実験的に検討した。
健常な20代男性3名の中立顔と笑顔を元に,顔の一部(片目・両目・口)を遮蔽した刺激顔を作成した。中立顔と笑顔それぞれについて,遮蔽のない顔を加えた4条件を設定した。被験者には,顔画像を見て,7種の印象項目(明るい,知的な,暖かい,やさしい,まじめな,思いやりがある,魅力的)についてマグニチュード推定法による評定を求めた。被験者は,女子大学生20名。
表情の効果については,明るい,暖かい,やさしい,思いやりがある,魅力的の5項目で中立顔に比べて笑顔で印象の向上が見られ,知的なとまじめなでは,中立顔と笑顔で印象の差は見られなかった。遮蔽の効果については,すべての印象項目でほぼ同じ傾向が見られ,遮蔽なしの条件での印象が最も高い評定値となっていた。遮蔽なしに比べて,片目遮蔽条件と口遮蔽条件ではわずかな印象低下が見られ,両目遮蔽条件で最も低い評定値となっていた。相貌印象判断における目情報の重要性と片目が提示されることで補完効果が生じていることが示唆された。