主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
自己関連情報は,他者関連情報より正確に,かつ,早く処理されることを自己優先効果(Self-prioritization effect; 以下SPE)という(Sui & Gu, 2017)。Jiang, et al. (2019) は,SPEと文化的自己観の関連を異文化間で比較し,相互協調的自己観が優勢である東洋の参加者は,相互独立的自己観が優勢である西洋の参加者よりSPEが生起しやすいことを報告している。しかし,先行研究では,SPE測定課題の成績に影響を及ぼす可能性がある言語や生活様式の差異を統制できていない。文化的自己観は同一文化内でも個人差があることから,本研究では日本人を対象として関連を検討した。調査は全てウェブ上で行い,参加者はSPEを測定する知覚マッチング課題と,相互独立的-相互協調的自己観尺度への回答を実施した。分析対象者は80名であり,目的変数に知覚マッチング課題で得られた自己-他者条件間における反応時間の差分,説明変数に年齢,性別,利き手,相互独立性,相互協調性を投入した重回帰分析を行った。その結果,相互協調性においてのみ有意傾向である正の関連(β=.24, p=.08)が示され,先行研究の知見と一致し,相互協調性が高いとSPEが生起しにくいことが明らかとなった。