主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
「楽しい時間は早く過ぎる」ように,行っている課題の違いや課題に対する態度によって主観的時間はゆがむことが知られている。認知的側面から検討されたこれまでの研究では,課題の認知負荷,すなわち課題遂行に費やされるワーキングメモリ容量などが主観的に知覚される時間の長さに影響することが示されている。本研究では,認知負荷が低いとされる潜在学習課題の遂行時における時間知覚を検討した。61名の大学生実験参加者を対象に,系列反応時間(SRT)課題を遂行しつつ,5分間を作成するよう求めた。あわせて参加者のワーキングメモリ容量とマインドワンダリング傾向を計測した。また課題遂行時の内観(面白さ,遂行時の時間意識,課題以外への意識の移ろい)を質問紙によって評定させた。結果として,SRT課題遂行時には主観的時間が実際の時間より長く評価されることが明らかとなった。一方で潜在学習課題の成績が高いほど,主観的時間が短い傾向が示された。また,評定時間や潜在学習成績と,ワーキングメモリ容量やマインドワンダリング傾向得点との間に相関は認められなかった。従来の時間知覚モデルと実験結果の整合性について検討を行った。