日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PL-005
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12. 言語・思考
物語の認知的ジャンルの特徴(2)―読者がすすめる小説に基づく検討―
*望月 正哉井関 龍太長田 友紀石黒 圭福田 由紀常深 浩平
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キーワード: 物語, 認知的ジャンル, 読書
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抄録

本研究では,先行研究で選択したジャンルタグを使用し,読者がもつ物語の認知的ジャンルの特徴を検討した。18―65歳の成人324名に,おすすめの小説を最大3編紹介させ,各小説がどのジャンルタグに当てはまるかを回答させた。その結果,選択率から「日常」「ミステリー」「恋愛」といったジャンルと認識される物語が多く読まれることが示された。また,複数のジャンルタグから特定のタグのみが選択されやすいという傾向から,「古典」や「文学」というジャンルは独立的に認識されることが示された。相関分析からは「ミステリー」と「サスペンス」のように同時に選択されやすく,共通性がある考えられるジャンルと,「日常」と「ミステリー」のように同時には選択されにくい排他的なジャンルがあることが示された。多次元尺度構成法の結果からは,認知的ジャンルを示すタグは感情価と日常性という軸で分布すると解釈された。これらの特徴は,専門的知識に基づくジャンル分けでは注目されてこなかった観点であり,読者がもつ認知的ジャンルは教材選択に有用な材料の一つとなるだろう。※なお,本研究はJSPS科研費JP20H01764の助成を受けたものです。

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