日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PO-094
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15. 発達
共感力がレジリエンスに与える影響―オタク自認者とオタク非自認者に着目して―
*山田 智之
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抄録

1975年から始まったコミックマーケットの参加者たちに対する蔑称であった「オタク」という言葉の意味と位置づけは大きな変化を見せ,近年ではポジティブな面を再評価する動きも見られるようになった。1995年にウィンドウズ95が発売されると「オタク」を取り巻く環境は急速に変化する。このことからインターネットの普及によって,個別に自己の文化領域を追求していた「オタク」がつながり,蔑視されていた状況を乗り越えられるレジリエンスを獲得したのではないかと仮説を立てた。そして,オタク自認者と非自認者に着目し,共感力がレジリエンスに与える影響について明らかにすることを目的に本研究を行った。その結果,オタク自認者においては,現実共感動機が相談者存在因子に正の影響を与えていた。また,オタク非自認者においては,現実認知的共感力が自己決定因子に正の影響を与え,現実共感動機が問題解決展望因子に正の影響を与え,自己決定因子に負の影響を与えていた。また,ネット認知的共感力が援助要請因子と楽観性因子に正の影響を与えていた。このことから,オタクのレジリエンスは単に人との共感関係ではなく,他の要因が影響を与えていることが考えられる。

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