日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PQ-006
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17. 産業・交通
自動車運転中に踏切内に閉じ込められたときの高齢ドライバーの行動―CG映像を用いた聞き取り調査―
*中村 明日希芦高 勇気杉田 憲亮武内 寛子
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キーワード: 高齢者, 自動車運転, 踏切
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抄録

近年発生した,踏切内で列車と自動車が衝突した事故のドライバーの約半数は60歳以上であった(国土交通省,2015)。鉄道事業者として効果的な踏切事故防止対策の検討のため,踏切内に閉じ込められた際の高齢ドライバーの行動について聞き取り調査を行った。調査協力者は運転免許更新で認知機能検査を受検した75歳以上の高齢群59名と,40~65歳の対照群80名であった。調査協力者に,自動車の運転席視点のCG動画を個別に視聴させながら自身がとる行動を質問した。踏切内に閉じ込められた場面で,推奨行動(前進して車ごと踏切から脱出)が回答されるもしくは回答に詰まるまで繰り返し質問した。その結果,高齢群は対照群に比べ,閉じ込められた後の最初の行動として推奨行動を回答する人の割合が低く(高齢群32%,対照群54%),最後まで推奨行動の回答がない人の割合が高かった(高齢群51%,対照群35%)(χ2(2)=6.48, p<.05)。推奨行動を知っていた人の割合は高齢群19%,対照群44%であったが,これらの人のうち最初の行動で推奨行動を回答した人の割合に大きな差はなかった(高齢群73%,対照群86%)。高齢群への推奨行動の啓発をより進めることが重要であると考えられる。

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