日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: SS-042
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公募シンポジウム
心理学における当事者性を明示した研究の可能性
町田 奈緒士綾屋 紗月今尾 真弓熊谷 晋一郎大倉 得史
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抄録

人間を対象とする心理学研究においては,調査者の存在が,協力者の語りやその分析に大きな影響を及ぼすにもかかわらず,議論の俎上に長らく載せられてこなかった。しかし,調査者もまた固有の生活史を持つ人間である以上,協力者とのあいだには一回性・個別性を持った相互作用が生じる。とりわけ,調査者が協力者と「同じ集団」に属する場合,言い換えると「当事者」でもある場合,調査者と協力者という境界線は曖昧化され,生じうる相互作用も複雑なものとなる。こうした中,近年興隆目覚ましい当事者研究を筆頭に,自らの当事者性を調査者が論文中で明示する研究が衆目を集めている。自らの当事者性を記すことは,研究テーマを探究していく上でどのような意味を持つのだろうか。また,それに伴われる危険性とはどのようなものであるのか。本シンポジウムでは,そうした当事者性を明示した研究をめぐる可能性と課題点について議論していきたい。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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