日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: ITL-001
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国際賞受賞講演
ICP2016と留学生ネットワーク
安藤 清志尾崎 由佳
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抄録

2016年7月にパシフィコ横浜で開催された第31回国際心理学会議は,内外から約8,000名が参加して盛会裡に終了したが,アジアでの開催とあって中国(約800名)を始めとして台湾,インドネシア,韓国,フィリピン,インドなど近隣の国々から多くの参加者があったことが印象的であった。この大会には,組織委員会の一員として,また,日心の総務担当常務理事と関わらせていただいたが,アジア各国の心理学関係者との交流に力を入れるべきことを改めて痛感した。この国際会議の数年前から,日本心理学会は各国の心理学会とMOUを結ぶ方向に歩みを進めていたが,具体的にどのように交流を進めるかが課題となっていたので,会議の終了後,その一つの試みとして「留学生ネットワーク」の設立を提案した。幸いにしてこの提案は受け入れられ,まず,2018年の日心大会で旗揚げシンポジウムを開催した。その後も国際委員会内のワーキンググループが中心になって日心大会におけるシンポジウムを企画してきた。現在ではこのネットワークを基盤にして母国語で勉強会を行うサブグループも構成されており,今後もさまざまな形の活動が行われることが期待されている。日本心理学会と韓国心理学会は,2008年から日韓共同シンポジウムを毎年交代でそれぞれの年次大会で開催することになったが(現在では,日中韓の三カ国に拡大),この間,国際担当の常務理事を務めていたこともあって韓国の心理学関係者と交流する機会が多くなった。このことも留学生ネットワーク設立への関心につながっている。2003年,東洋大学大学院社会学研究科が主体となって「東洋大学21世紀ヒューマンインタラクション・リサーチセンター(HIRC21)」が設立された。このセンターの活動の一環として,韓国の翰林大学応用心理研究所や成均館大学心理学専攻と協定を結び,毎年,教員や大学院生間の研究交流が行われた。東洋大学で学会の大会が開催されるときには,シンポジウムや海外の研究者の講演などをセンターと共催することで,より充実したものにすることができた。以上,ささやかな貢献であるが,受賞を励みに今後もできる範囲で交流のお手伝いをしたいと考えている。

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