日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: ITL-002
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国際賞受賞講演
「心の理論」研究に至る道とその後の展開
子安 増生森口 佑介
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抄録

児童の思考発達に関する修士論文の内容を1976年に英文誌に発表してから,私は特に国際的発信を行わずに歳月を過ごしたが,1994年に文部省在外研究員制度によりオックスフォード大学に招聘研究員として滞在し,同大学ほかロンドン大学(UCL),ランカスター大学,ヨーク大学などでの研究交流に加え,シェフィールド大学で開催された国際シンポジウム “Theories of theories of mind”に出席したことが大きな転機となった。Premack & Woodruff(1978)が提唱し,Wimmer & Perner(1983)が発達研究に,Baron-Cohen, Leslie, & Frith(1985)が自閉症研究に発展させた「心の理論」研究は,その時点ではわが国において殆ど知られていなかった。1995年に帰国後,英国滞在時の交流に基づく共同研究(Furnham et al., 2000;Cox et al., 2001)を行ったほか,私自身で「心の理論」の発達研究を開始し,「心の理論」研究の意義を広くわが国に伝える「伝道師」的な活動を行った(子安,1997, 2000等)。さらに,ほぼ同じ頃(1997-2003年),日本発の国際心理学雑誌 Psychologia のエディターを務め,国際的発信支援の重責を担った。その後,2014-2020年には同誌を発行する Psychologia Society のプレジデントも担当した。2007-2011年の間,私は京都大学グローバルCOE「心が活きる教育のための国際的拠点」の拠点リーダーを担当し,幸福感の国際比較研究を行ったほか,国際的公募により助教を採用し,博士課程の学生を含む若手研究者の国際的研究活動を支援した。2008-2014年には,日本発達心理学会理事長を2期担当したが,同学会の国際的発信活動の強化策として,英国心理学会(British Psychological Society)の発達部門との研究交流を主導し,それぞれの大会にキ—ノートスピーカーを派遣する協定を結んで実行してきた。この協定は,東日本大震災や新型コロナウイルスの蔓延を乗り越えて,現在も継続している。私のこの四半世紀ほどの国際交流活動が評価され,国際賞功労賞をいただくことになったのは望外の幸せである。

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