日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PA-006
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1.原理・方法
質問紙調査における回答の系列依存性に関する検討
*島田 大祐片平 健太郎
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抄録

系列依存性とは,各個人の現在における行動が以前にした行動に影響を受けるという傾向を指す。系列依存性は,物理量の知覚(Holland & Lockhead, 1968)から,WEB上における商品評価(Vinson et al., 2019)まで,幅広い認知的活動に存在することが知られている。一方,質問紙調査における回答の系列依存性が存在するかどうかについて,直接的な検討はされていない。しかし,回答の系列依存性を無視すると,測定対象の構成概念(例:個人特性)の測定に悪影響を及ぼす恐れがある。そのため本研究では,質問紙における回答の系列依存性が存在するかどうかを明らかにすることを目的とする。この目的を達成するため,日本語版Big Five尺度(和田,1996)を用いたWEB調査を実施した。回答データ(N=1834)に階層自己回帰モデルを当てはめた結果,各参加者が直前の項目において高い値を回答したとき,現在の項目でも高い値を回答しやすいことが示された。この結果から,質問紙における回答に正の系列依存性が存在することが示唆される。当日はさらに,質問項目の呈示順や回答ラベル数を操作した追加調査の結果も報告する。

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