日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PA-010
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1.原理・方法
知覚制御理論と自由エネルギー原理の比較に関する理論的考察
*金築 優
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抄録

知覚制御理論(perceptual control theory:PCT;Powers, 1973)と自由エネルギー原理(free energy principle:FEP;Friston, 2010)は共に,計算論的に行動の機能を説明する理論である。PCTとFEPは,ある程度の共通点もあるが,異なる点も多々あり,この2つの理論を比較することによって,両理論における新たな研究課題を見出すことが期待される。PCTは,脳は制御する対象を特定化する役割を果たしていると考えるが,FEPは,脳はサプライズを最小化させる役割を担っていると考えている。PCTにおける制御の特徴は,行動によって知覚を制御すると捉える点である。一方,FEPにおいて,予測(prediction)が重要な役割を果たしており,予測誤差の最小化が重視される。PCTは,予測なしに,制御が可能であることを主張する。FEPは,知覚と運動によって,予測誤差を最小化させていると主張する。予測の定義をどのように捉えるかによって,両理論がオーバーラップする部分は異なってくると考えられる。

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