日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PA-011
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1.原理・方法
心理学の研究におけるp値の分布と傾向相関分析,カイ2乗検定,t検定,分散分析から
*菅沼 慎一郎浦野 由平河合 輝久
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抄録

心理学の量的な研究実践の多くでは帰無仮説検定が用いられている。慣習的に.05という有意水準が用いられており,p値が.05を上回るか下回るかが焦点となる。一方近年,p値にまつわる様々な問題が注目を集めており,心理学研究においてp値がどのように報告され,用いられているのかは重要である。そこで本研究では,我が国における心理学分野の代表的な論文誌として心理学研究,教育心理学研究,社会心理学研究の3つを取り上げ,報告されているp値の分析を行なった。2019年度に刊行された論文の中で,相関分析・カイ二乗検定・t検定・分散分析の4つの分析においてp値を報告した95本の論文を対象とした。報告されたp値のうち,有意あるいは有意傾向と報告されている0<p≦.10のp値を収集し,計1758個のp値を得た。このうち,0から.05までを.01刻みで分割したところそれぞれの個数は1423,106,66,55,47となり,0に近いp値が非常に多くなっていた一方で,.05の直下で報告数が増加する現象は確認できなかった。考察として,報告されているp値の傾向と背景を議論し,課題と展望について述べた。

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