日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PA-013
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1.原理・方法
遠城寺式乳幼児分析的発達検査法の背景
*鈴木 朋子
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抄録

本研究では,小児医学領域において開発された乳幼児分析的発達検査法に焦点をあて,開発者である小児医学者,遠城寺宗徳の実践との関係を論じる。遠城寺宗徳は,1942年に九州帝国大学教授に着任した人物であり,治療教育や学校保健など教育や心理との協働を説いた人物である。遠城寺は戦前の2回目の渡欧の際に,ウィーン大学小児科の治療教育部において主任を務めるアスペルガーの実践に影響を受け,1953年に九州大学小児科に治療教育部を設置した。また,教育学者の平塚益徳,心理学者の牛島義友とともに「教育と医学の会」を組織し,慶應通信社より「教育と医学」を刊行した。遠城寺式乳幼児分析的発達検査法は,脳性小児まひについての文部省科学試験研究費による研究成果の一環として発表された。牛島式乳幼児発達検査を基礎として,脳性まひ児などの障害児も利用可能なように開発されており,1957年に試案作成,1958年に報告書が出され,1960年に慶應通信より『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法』として刊行された。その後,1977年に改訂版,2009年に改訂新装版が出版された。

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