日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PA-015
会議情報

1.原理・方法
回答モニターはWeb調査と紙面調査では回答行動を変えるのか
*田崎 勝也
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本研究では,インターネットを利用した調査(Web調査)の近年の興隆に鑑み,謝礼の見返りに協力するモニターの回答行動がWeb調査と紙面調査では異なるのか,反応バイアスの発生頻度に着目して検証した。田崎(2020)は2,000名のWeb調査データに対して,Weijters et al.(2008)の因子モデル(RIRSMACS)により反応バイアスを数量化した。分析の結果,5件法で3を回答する中間反応バイアス(MRS)が顕著だった。またMRS因子はsatisficing因子と相関があり,スタイルとして3を選ぶ者と手抜き回答として3を選択する者の双方が示された。本研究では別のモニター515名に紙面調査を実施し同一項目に対する回答を得た。RIRSMACSによる分析で,最も顕著だった反応バイアスは1や5を好意的に選ぶ極端反応傾向(ERS)だった。一方調査ツール間の反応バイアスの差は,紙面調査はWeb調査に対して4や5を選択する黙従反応傾向(ARS)とERSが高く(それぞれz=19.42, p<.001,z=3.35, p<.001)MRSは低かった(z=-15.23, p<.001)。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top