日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-024
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3.社会・文化
援助規範の顕現化は利己的動機の推測を抑制するか(2)「小さな親切」行動を対象とした検討
*山本 佳祐池上 知子
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抄録

援助行動は社会的に望ましい行動であるにもかかわらず,援助者が利己的と評価されることがある(Carlson & Zaki, 2018;山本・田中,2018;山本・池上,2019;山本・池上,印刷中)。本研究は善意の援助者が正当に評価されるための手立てを探るため,援助規範の顕現化が利他的動機の推測を促し利己的動機の推測を抑制する効果について検証した。援助規範の顕現化は,援助規範に関する記述文を実験参加者に呈示する形式で操作を行った。大学生220名を対象にオンライン上で質問紙実験を行った。実験参加者は,援助規範に関する文章あるいは無関連の文章を読んだ。その後,倒れた自転車を起こす手伝いをする援助場面のシナリオを読み,援助者に対する印象を評定した。階層的重回帰分析の結果,規範介入の有意な効果は示されず,予測は支持されなかった。本研究では援助規範のプライミング操作を顕在意識レベルで行ったために適切に機能しなかった可能性が考えられる。ただし,援助者に対して利他的規範意識が帰属されると,利他的動機が推測されやすくなることが示され,少なくとも両者の関連性は示された。

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