主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
障がいを有する子と同居する親にとって,障がい状況に応じた防災対策の実行は喫緊の課題であり,その心理的規定因を確認することは重要である。防災対策意図に関する心理学的理論(たとえば,元吉・髙尾・池田,2008;広瀬,2014)に基づくと,リスク認知や防災対策の実施に対する責任感,防災対策に対するコスト評価や便益の評価が防災対策意図を規定することが予想される。また,目標を達成するための志向性(Higgins, 1997)を踏まえると,促進焦点の傾向を有する者においては防災対策に付随する付加価値が防災対策意図を規定し,予防焦点の傾向を有する者はリスク認知や親として防災対策に取り組む責任感が防災対策意図を規定することが予想される。障がいを理由に自らの意思で防災対策を実行できない子(20歳から49歳)と同居する親(40歳から69歳)を対象に調査を実施した。分析の結果,防災対策の付加価値評価と相対的制御焦点の交互作用項は,相対的予防焦点は防災対策の付加価値の単純傾斜は有意ではなかったが,相対的促進焦点においては防災対策の付加価値の単純傾斜が有意であった。