日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-027
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3.社会・文化
感謝と利他行動がウェルビーイングに及ぼす影響質問紙調査による再検討
*寺田 和永津川 秀夫
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抄録

ポジティブ心理学では,感謝や利他行動(親切)が,ウェルビーイング向上させることが示されてきた。本研究では,感謝や利他行動の効果を質問紙調査により再検討することを目的とした。大学生83名を対象として,日本語版感謝尺度(GQ6-J),利他行動尺度,人生満足度尺度(SWLS),心理的ウェルビーイング尺度短縮版(PWBS)を用い調査を実施した。その結果,GQ6-Jは,SWLSに有意な正の影響があった。またGQ6-Jは,PWBS合計および,下位因子の〈人格的成長〉〈積極的他者関係〉等に有意な正の影響が認められた。利他行動は,PWBS合計および,〈環境制御力〉等に有意な正の影響があった。以上から,感謝をすることや利他行動をおこなうことによって,先行研究と同様にウェルビーイングが高まることが示唆された。また,感謝と利他行動では,心理的ウェルビーイングの下位因子に及ぼす影響に違いのあることが認められた。すなわち,感謝は自身が成長している感覚や良好な人間関係を築けている感覚に主として影響を与え,利他行動は自分が環境に対応できているという感覚に影響を与えることが示された。

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