主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
近年の援助要請研究では,回避型のみならず依存型(過剰型)の援助要請も不適応的という主張が散見される。しかし,援助要請スタイルと心理的適応の関連に関する実証的論拠はまだ少ない。そこで本研究では複数の調査を通じて,援助要請スタイルと心理的適応の関連を検討した。2019年秋に大学生を対象とした研究1では,回避型が孤独感と正,自尊感情,人生満足感,協調的幸福感と負の関連を示し,回避型と不適応の関連が示された。しかし過剰型と自立型は,いずれも心理的適応と関連を示さなかった。成人を対象として2020年1月~2月に調査を実施した研究2では,回避型と孤独感,自立型と自尊心がそれぞれ正の相関を示したが,過剰型はいずれの心理的適応指標とも関連を示さなかった。さらに,2020年10月に成人への調査を実施した研究3では,協調的幸福感が自立型および依存型と正,孤独感が依存型と負,回避型と正の関連を示した。また,心理的適応指標はサポートと関連し,サポートは依存型と正,回避型と負の関連を示したが,自立型とは関連しなかった。したがって通説に反して,依存型が不適応的であることの明確な論拠は示されなかった。