主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
我が国では「共生社会」の実現が目指されている。その実現の一環として合理的配慮(reasonable accomodation)が求められている。鈴木・鈴木(2021)は,個々人の合理的配慮への意識(必要性の認知および実行の程度の認知)を4つの側面(教育・就業・一般場面の合理的配慮,一般場面の差別的対応)から測定する尺度を開発した。本研究では,合理的配慮への意識が,具体的な障がいや病者に対する行動とどのように関連するのか明らかにすることを目的とした。大学生159名(男57名,女102名)を対象とした質問紙調査の結果から以下のことが明らかとなった。第1に,合理的配慮の必要性認知・実行認知ともに障がい者・病者に対する行動との間に弱い有意な正の相関が示された。差別的対応の必要性認知との間には弱い負の相関が示された。第2に,合理的配慮の必要性認知および実行認知において,他方の変数との関連をコントロールした上で障がい者・病者に対する行動との偏相関係数を算出した結果,合理的配慮の実行認知でのみ関連が示され,必要性認知との関連は示されなかった。