主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
現代日本の職場においては,性役割分担観に基づく差別的な待遇(ジェンダー・ハラスメント,以後GH)が存在し,女性の活躍を阻むとともに,女性および男性の適応感を低下させている(石井・田仲,2019, 2020)。こうした職場に存在する差別の認知は,今後就職することになる大学生の就業への意識に悪影響を及ぼす可能性がある。本研究では日本の大学生(研究1:女性39名(3年生以上);研究2:101名,女性31名,男性68名,不明2名,平均20.25歳)を対象に,職場においてGHがあることを想定することが,どのような感情や職場に対する意識をもたらすかを検討するWeb実験を行った。実験では,女性が男性向きの役割を担うことを期待されない職場(GH不作為),女性が女性向きの役割を担うことを期待される職場(GH作為)のシナリオを提示し,そうした扱いを受けたときの感情を答えてもらった。2つの実験で共通する傾向として,平等主義的性役割者はGH不作為のシナリオであっても,GH作為シナリオであっても否定的にとらえる一方で,伝統的性役割者はいずれの状況もそれほど否定的にとらえず,むしろ肯定的にとらえる傾向も見られた。