日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-101
会議情報

3.社会・文化
錯視経験は自己概念および自己評価を曖昧にするか
*田端 拓哉神原 歩
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

錯視経験が,客観性の自己評価を低下させ,自己概念を不明確に感じさせ,自己評価(知性とやさしさ)の確信を低下(i.e., どちらともいえない)させるか検討した。実験参加者は大学生38人だった。実験条件(20人)では錯視画,統制条件では非錯視画が呈示された。その後,操作確認項目と各従属変数項目の回答を求めた。ベイズ推定の結果,自己概念明確性のみ,実験条件の平均値の信用区間(95 %[2.99, 4.69])が尺度中点5を下回った一方で,統制条件の平均値は信用区間(95 %[3.69, 5.92])に尺度中点を含むという,仮説を支持する傾向は認められた。やさしさの自己評価は,予測と異なり,実験条件の平均値が95 %[5.40, 6.58]と尺度中点5より高く,一方,統制条件では95 %[4.68, 5.92]と尺度中点を含むという条件差が認められた。操作確認の結果から,錯覚感は実験条件>統制条件(単回帰係数bが95 %[-10.56, -3.13])であったが,その驚きに条件差が認められず(bが95 %[-5.13, 2.53]),錯視経験の影響が弱かったと推察されるため,さらなる検討を要する。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top