主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
錯視経験が,客観性の自己評価を低下させ,自己概念を不明確に感じさせ,自己評価(知性とやさしさ)の確信を低下(i.e., どちらともいえない)させるか検討した。実験参加者は大学生38人だった。実験条件(20人)では錯視画,統制条件では非錯視画が呈示された。その後,操作確認項目と各従属変数項目の回答を求めた。ベイズ推定の結果,自己概念明確性のみ,実験条件の平均値の信用区間(95 %[2.99, 4.69])が尺度中点5を下回った一方で,統制条件の平均値は信用区間(95 %[3.69, 5.92])に尺度中点を含むという,仮説を支持する傾向は認められた。やさしさの自己評価は,予測と異なり,実験条件の平均値が95 %[5.40, 6.58]と尺度中点5より高く,一方,統制条件では95 %[4.68, 5.92]と尺度中点を含むという条件差が認められた。操作確認の結果から,錯覚感は実験条件>統制条件(単回帰係数bが95 %[-10.56, -3.13])であったが,その驚きに条件差が認められず(bが95 %[-5.13, 2.53]),錯視経験の影響が弱かったと推察されるため,さらなる検討を要する。