主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
本研究の目的は,藤井・澤田(2014)の方法を修正することで,再度,顕在的-潜在的自尊心の不一致がシャーデンフロイデに及ぼす影響について検討することである。修正点は,(1)シナリオの内容,(2)潜在的自尊心の測定方法,(3)分析方法の追加である。Google FormによるWeb調査を行い,149名の大学生から回答を得た。その結果,潜在的自尊心の主効果と顕在的-潜在的自尊心の交互作用が有意であった。単純傾斜検定を行ったところ,顕在的自尊心が低い場合は潜在的自尊心の単純傾斜が有意となり,潜在的自尊心が高く顕在的自尊心が低いものほどシャーデンフロイデが強いことがわかった。この結果は,小塩・西野・速水(2009)の他者軽視に関する傾向と同じであった。また,不一致の方向と乖離の大きさの交互作用が有意であり,相対的に潜在的自尊心が高い場合は顕在的自尊心との乖離が大きいほどシャーデンフロイデが強くなることがわかった。以上の結果が,高い潜在的自尊心を守るための非意識的な下方比較との関連で考察された。