リーダーシップ行動の認知が上司の印象評価に与える影響を，指示の適切性の認知が媒介することがについて検討するため，アルバイトをしている学生の1日に関するシナリオを用いてリーダーシップ行動を操作し，検討を行った（堀・田中，2019）。しかし，研究で用いたシナリオに対してリーダーの情報量に関する課題や文章のイメージしやすさに関する課題など，いくつかの問題が挙げられた。よって本研究では，シナリオの内容を修正し，リーダーシップ行動が上司の印象評価に与える影響を検討した。実験デザインは2（計画達成行動：高・低）×2（生産強調行動：高・低）×2（関係維持行動：高・低）の3要因参加者間計画であった。参加者は132名（女性105名，男性27名）の大学生であった。その結果，計画達成行動と関係維持行動が高いときは指示の適切性と上司の印象評価を高く，生産達成行動が高いときは指示の適切性と上司の印象評価を低く認知していた。また，生産強調行動が低いとき，関係維持行動が高い方が低いときと比べて指示の適切性の認知が高かった。そして，計画達成行動と関係維持行動がともに高いとき，上司の印象評価が高かった。
