日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-169
会議情報

3.社会・文化
SNS上で当事者は「メンヘラ」をどう語るのか多元的アイデンティティの観点から
*高橋 萌黄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本研究の目的は,第1に,SNS上で当事者が「メンヘラ」を語ることでどのように「メンヘラ」としてアイデンティティを確立しているのかを明らかにすることである。第2に,「メンヘラ」アイデンティティの在り方を明らかにすることである。第3に,多元的アイデンティティの新モデルを提案することである。動画中心のSNS上で「メンヘラカップル」がカップル間のルールを「掟」として示す動画を対象とし,会話分析を行った。「メンヘラカップル」が「掟」を紹介する過程で,「きついことを言ったら緩める」というパターンが繰り返されていることが示された。そのパターンはいくつかの手法に分類される。1つは,強圧的な言葉で「掟」を強調し,その後すぐに「周囲の理解」という視点から自分たちの行為の認められやすさを主張する手法であった。このように,当事者はSNS上で「メンヘラ」を語るとき,「変わっているけど変わりすぎないライン」を模索していた。「メンヘラ」と「普通の人」としての自己を同時に示すことで,社会からの受容を達成し,「メンヘラ」としてアイデンティティを確立していた。そこから多元的アイデンティティの新モデルの提案を目指した。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top