主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
子どもの強迫性障害は併発症状を有する割合が高く,家族の巻き込みへの介入も必要になるなど,より丁寧なアセスメントが求められる。本研究では,強迫症状と関連が深い行動特徴・発達特性と巻き込みの関係性について検証し,強迫症状に対するアセスメントの一助となる知見を得ることを目指した。対象は強迫症状ないしこだわり行動を主訴に来談した親子10組(男子:7名,女子:3名,平均年齢:13.3[SD=2.8]歳)であった。強迫症状の重症度(CY-BOCS),自閉スペクトラム特性(PARS),反復行動尺度(RBR),行動特徴(CBCL),ADHD傾向(ADHD-RS),精神的健康度(K6),生活の質(WHO-5)について,強迫症状への巻き込み得点(FAS)との相関関係を解析した。その結果を参考に階層的クラスタ分析を実施したところ,①巻き込みが強く,不注意傾向が低いグループ(3名)と②巻き込みが弱く,不注意傾向が高いグループ(7名)に分類できた。両者を比較すると,後者の方が,思考の問題や社会性の問題を抱えやすい傾向があった。巻き込み行動が少ない場合,より丁寧に併発する症状の評価が必要だと考えられた。