日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-035
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4.臨床・障害
心理アセスメントにおける初学者の特徴力動的ケースフォーミュレーションのためのアセスメントツールの開発
*古田 雅明森本 麻穂加藤 佑昌井上 美鈴下平 憲子
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抄録

心理支援の基礎となる心理アセスメント力の養成は初期教育の重要課題である。本研究は初学者をサポートする力動的アセスメントツールの開発を目指している。その基礎として今回初学者のアセスメントの特徴に関し探索的研究を行った。具体的には研究協力者21名を2群に分け架空事例の初回面接場面を書面で提示しアセスメントを依頼した。その際,A群には発表者ら作成の講義ノートと3種のアセスメントツール(情報整理,評価,定式化)を用いた方法で,B群には普段行っている方法で依頼した。回収したアセスメントデータにおける両群の異同を検討するためにKh Coderを用いて階層的クラスター分析と共起ネットワークによる分析を行った。その結果,両群共に6クラスターを抽出した。共起ネットワークの分析結果も踏まえると,両群ともクライエントが語る現在の問題行動や対人関係に注目しやすいことが見出された。A群は,来談動機や感情調整に注目するなど,力動的アセスメントの基礎となる主訴の語り方や背景を評価する傾向が見出された。一方,未使用のB群はクライエントの症状や家族関係に注目しやすく,カウンセリング導入に積極的という特徴が認められた。

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