日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-037
会議情報

4.臨床・障害
基礎疾患児を育てる保護者の精神的健康と育児不安について
*清水 絢香岩滿 優美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本研究では,遠方から通院や入院をする基礎疾患児を育てる保護者を対象に精神的健康と育児不安について調べた。保護者172名を対象に日本版精神健康調査票短縮版(GHQ12),「子育てをしていく中で,不安なこと(自由記述)」などの質問紙と説明書を手渡し,無記名による郵送及び留め置き法にて回収し,自由記述の記載があった55名を分析対象とした。なお,本研究では,北里大学倫理審査委員会の承認を得ている。GHQ得点の平均±SDは4.9±3.7点であり,神経症傾向である4点以上の対象者は29名であった。不安に関する質的分析では,「保護者」,「患児」,「患児・きょうだい」,「社会」のカテゴリーに分類し,各カテゴリー,各サブカテゴリーの頻度を算出した。その結果,「保護者」が42.5 %(7カテゴリー),「患児」が44.8 %(5カテゴリー)と多く,各カテゴリーでは,「保護者」では患児の育て方の不安,ソーシャルサポートの問題が,「患児」では,子どもの将来の不確実性の不安が10 %以上出現していた。以上より,基礎疾患児を育てる保護者の約半分が精神的に不調であり,保護者に対する心理的支援の重要性が示唆された。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top