日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-038
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4.臨床・障害
元交際相手からの迷惑な接近行動が被害者の苦悩感情に与える影響被害者による元交際相手のパーソナリティ認知からの検討
*小林 大介若島 孔文
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抄録

本研究の目的は,恋愛関係解消後に元交際相手から行われるストーキングを含む迷惑な接近に対し,被害者が感じる苦悩感情の背景要因を元交際相手のパーソナリティ認知の面から検討することである。過去5年以内に元交際相手との別れを経験した18歳から39歳の一般人を対象としたWeb調査を実施し,207名(男性73名,女性134名,平均年齢29.57歳,SD=5.81)を分析の対象とした。性別,交際期間,接近の継続期間,経験した迷惑な接近の種類の多様さとその頻度,元交際相手のパーソナリティ認知を説明変数,接近により生じる苦悩感情を目的変数とした階層的重回帰分析を実施した。その結果,女性であること,経験した迷惑な接近の種類が多様で,経験頻度が多いこと,元交際相手の神経症傾向を高く,協調性を低く認知していることが接近により生じる苦悩感情を高めることが明らかとなった。以上の結果から,元交際相手からの迷惑な接近を受けている被害者の支援には,被害の内容や頻度だけでなく,被害者が加害者に対して抱いている認知にも目を向ける必要があることが示唆された。

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