日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-058
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4.臨床・障害
状態反すう尺度(Brief State Rumination Inventory)の日本語版作成および信頼性・妥当性の検証
*大井 瞳西村 春輝長谷川 晃
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キーワード: 反すう, 状態, 尺度作成
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抄録

Brief State Rumination Inventory(BSRI;Marchetti et al., 2018)は,現在どの程度状態反すうが生じているかを測定する尺度であり,短い期間で変動する反すうを捉えるために有用であるが,日本語版が開発されていない。本研究の目的は,状態反すうを測定するBSRIの日本語版を作成し,信頼性,妥当性の検証を行うことであった。研究1では,351名の大学生を対象に質問紙調査を行った。結果より,BSRI日本語版から「内省」「制御困難なネガティブ思考」の2因子構造が見出され,一般因子を含む階層因子モデルが最もデータに適していることが示された。また,BSRI日本語版は十分な内的一貫性をもち,かつ特性反すう,精神的健康,気分,マインドフルネスに関する尺度との関連から構成概念妥当性を示す結果が得られた。研究2では,69名の大学生を対象に反すうまたは気そらし状態を誘導し,誘導前後のBSRIの変化について検討した。反すうを誘導した群においてBSRIの得点が上昇し,反すう誘導はBSRIの「制御困難なネガティブ思考」を媒介して,ネガティブ気分の上昇に影響を与えることが示された。

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