日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-074
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4.臨床・障害
児の悩みの深刻度評価と 育児相談利用の利益・コストの予測との関連—被援助志向性の調整効果に着目して—
*岡本 大輔大澤 香織
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抄録

育児の負担感や育て方の不安等の悩み(以下,母親の悩み)において,被援助への肯定感と抵抗感と育児相談利用による利益・コストの予測との関連,および母親の悩みに対する深刻度評価と育児相談利用によるコストの予測との関連における被援助への抵抗感の調整効果が認められた(岡本・大澤,2021a)。一方で,こうした関連が育児相談の対象である児の行動や発達の悩み(以下,児の悩みとする)でも認められるかは検証されていない。そこで本研究では,児の悩みの深刻度評価と育児相談利用による利益・コストの予測との関連について,被援助への肯定感と抵抗感の調整効果を含めて検証することを目的とし,0-3歳児を育てる母親を対象に調査を行った。その結果,被援助への肯定感と抵抗感が育児相談利用による利益・コストの予測に関連することが示された。また,悩みは深刻だが被援助への抵抗感が高く,育児相談の利用に葛藤する場合,母親は育児相談を利用しようと判断しやすくなると示唆された。以上の結果から,母親の悩みを対象とした岡本・大澤(2021a)で認められた変数間の関連が,児の悩みを対象とした本研究においても認められたと考えられる。

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© 2021 公益社団法人 日本心理学会
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