主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
育児の負担感や育て方の不安等の悩み(以下,母親の悩み)において,被援助への肯定感と抵抗感と育児相談利用による利益・コストの予測との関連,および母親の悩みに対する深刻度評価と育児相談利用によるコストの予測との関連における被援助への抵抗感の調整効果が認められた(岡本・大澤,2021a)。一方で,こうした関連が育児相談の対象である児の行動や発達の悩み(以下,児の悩みとする)でも認められるかは検証されていない。そこで本研究では,児の悩みの深刻度評価と育児相談利用による利益・コストの予測との関連について,被援助への肯定感と抵抗感の調整効果を含めて検証することを目的とし,0-3歳児を育てる母親を対象に調査を行った。その結果,被援助への肯定感と抵抗感が育児相談利用による利益・コストの予測に関連することが示された。また,悩みは深刻だが被援助への抵抗感が高く,育児相談の利用に葛藤する場合,母親は育児相談を利用しようと判断しやすくなると示唆された。以上の結果から,母親の悩みを対象とした岡本・大澤(2021a)で認められた変数間の関連が,児の悩みを対象とした本研究においても認められたと考えられる。