主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
(問題と目的)子どもの自殺が増加傾向となっている。とりわけコロナ禍となった2020年は,女子高校生の自殺が前年と比較して倍増したこともあり,高校生の自殺死亡者数が329名と過去最悪となった。こうした状況から,高校では生徒の自殺予防が喫緊の課題となっている。しかしながら,実際には高校で自殺ハイリスクの生徒に対する援助が困難となるケースも少なくない。本研究では,高校で自殺ハイリスクの生徒の援助がなぜ成立しづらいのかを,高校教員に実施した自殺予防に関する調査の二次分析から明らかにする。(方法)A県の精神保健福祉センターに協力を仰ぎ,A県内の高校教員から寄せられた「援助の不成立」に関わる事例について二次的分析を行った。(結果と考察)自殺ハイリスクの生徒に対する援助(SCや医療機関のケア)が成立しなかった経験のある19名の回答データを分析した結果,高校での援助の不成立の背景には教員の認識不足やスキル不足によるものよりも,生徒や保護者の意向や,保護者の持つ精神科治療に関する理解不足,地域の相談機関へのアクセスの困難さ等が影響していることが明らかとなった。