日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-097
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4.臨床・障害
不注意を主徴とする注意欠如多動症の中枢性疲労と神経伝達物質動態に関する基幹研究
*山下 雅俊山本 隆宣
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抄録

【目的】注意欠如多動症(ADHD)は他者よりも疲れやすいと言われている。従って,疲労の蓄積がADHDの認知機能に悪影響を与えることが想定される。本研究では大学生を対象に,ADHDのサブタイプと中枢性疲労との関係を検討した。また,ADHD児童をサブタイプに分類後,中枢性疲労の分子基盤としてのモノアミン代謝物レベルの特徴を観察した。【方法】大学生195名を対象にAASS尺度を用いてサブタイプに分類し,疲労尺度を実施した。また,ADHD児童8名を対象にADHD-RS-IVを用いてサブタイプに分類後,尿中モノアミン代謝物排泄量を測定した。【結果】混合群と不注意群の中枢性疲労度は多動/衝動群や対照群よりも高かった。また,重回帰分析では不注意因子が中枢性疲労を予測した。さらに,不注意優勢型は他のサブタイプよりも尿中MHPG(ノルアドレナリン[NA]代謝物)レベルが高く,HVA(ドーパミン[DA]代謝物)レベルが低かった。【考察】不注意傾向は中枢性疲労を強く表出する可能性がある。特に,易疲労性はNA神経系の過活動とDA神経系の機能低下が不注意を主徴とするADHDの根本原因で有り得ることが示唆された。

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