主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
近年,スマートフォンは現代人にとって欠かせないツールとなった。スマートフォンは個人の生活を便利にする一方,その過剰な利用は抑うつや不眠といったメンタルヘルス上の問題と結びつくことが知られている(Li et al., 2020)。本研究では,そうした過剰な利用行動がもつ心理学的な機能に着目し,それを査定するための質問紙尺度を開発した。一連のオンライン調査を通じて,尺度項目の構成,因子構造の検討,信頼性と妥当性の検討を行った。項目分析と探索的因子分析の結果,20項目4因子構造が見いだされた。各因子に含まれる項目内容から,因子名はそれぞれ「先延ばし利用」,「気晴らし利用」,「逃避利用」,「関係希求利用」とした。確認的因子分析の結果,因子構造の交差妥当性が支持された(CFI=.975, SRMR=.043, RMSEA=.061)。各因子の内的整合性は十分に高く(α=.900 -.953),再検査信頼性も総じて許容可能な水準だった(ICC =.641 -.823)。相関分析と重回帰分析の結果,各因子の構成概念妥当性が部分的に支持された。以上,改善の余地はあるものの,本尺度は一定の心理測定的支持を得たと言える。