日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-113
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4.臨床・障害
強迫傾向における対処方略の効果
*清水 健司清水 寿代
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抄録

強迫傾向とは,健常群においてみられる強迫症(強迫観念,強迫行為)の症状傾向のことを指す。この強迫傾向を理解することは,OCDの予防・治療の観点からも重要な示唆を含むものである。そのため,本研究ではwebによるパネル調査を実施(調査参加者200名,男性112名,女性88名,平均年齢49.2歳 SD=18.2歳,Time1からTime2までは1ヶ月間隔)した。パスモデルとしては,強迫観念傾向(T1)が強迫行為傾向(T2)に影響を与えるなかで,論理的分析(T1)と破局的思考の緩和(T2)と思考抑制(T1)と価値づけられた行動継続(T2)といった具体的な対処方略が,強迫観念傾向および強迫行為傾向の増減にどのように作用するかを想定するものであった。その結果,強迫観念傾向が強迫行為傾向の増加につながるなかで,論理的分析と思考抑制は症状傾向を悪化させる作用を持ち,アクセプタンス的態度である破局的思考の緩和と行動継続は低減効果を持つことが示唆された。OCD予防・治療においては,代替思考の産出や思考から回避することは有効な対処方略とは言えず,思考を受け入れるアクセプタンス対処の有効性が支持された。

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