日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-127
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4.臨床・障害
遊戯行動による疲労脳の調整再生効果
*橋本 久美中野 茂江上 智章
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抄録

【目的】遊びの楽しさは,ポジティブ情動を喚起しレジリエンスを醸成する。実験的な遊びが,先行ストレスで喚起されたネガティブ情動を緩和する後続効果があるかを,またその逆に遊びの先行効果について検討する。【方法】実験協力者は大学生25名であった。A実験では,暗算などのストレス課題,次に対人遊びを施行した。B実験は,逆順で施行した。気分測定はPOMS2を用いた。前頭葉脳波は(株)FUTEK社のブレインプロライトFM-838を用いた。【結果】A実験・B実験ともに,遊びの後にTMD(ネガティブ気分)が有意に下降した(各々,p<.001,p<.05)。A実験では遊び後に β 波が有意に上昇した(p<.01)。【結論】遊び行動は日常生活のストレスを解消する効果があるとされている。ストレス課題後の遊びでは,ネガティブ気分は下降しているに関わらず β 波が上昇した。遊戯性には好奇心因子が見いだされている(中野・橋本,2017)。遊びの楽しさは不安や緊張を忘れさせるが,脳内ではストレス喚起がなされている。遊び行動による新ストレスは,不快ストレスにとって代わり,脳の状態を再調整すると推測される。

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