日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-136
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4.臨床・障害
乳がん罹患および治療経験と時間的展望の関連経験の有無による比較
*雲財 啓齊藤 誠一
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キーワード: 乳がん, 時間的展望
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抄録

女性における罹患数が最も多い乳がんの罹患は30代から増加し始めるものの,その5年生存率は90 %超であることから,比較的若い年代の乳がん経験者,および経験者を配偶者に持つパートナーが増加していると思われる。その一方で乳がんの5年生存率に対する一般の認識は60 %以下が多くを占める(Takahashi et al.,2012)ことから,乳がん経験は未来の消失と認識することが多いと思われる。このことは本来未来に広がりを持つ年代の時間的展望に影響すると考えられることから,乳がん経験のない男女各206名,乳がん経験者(女性)188名,乳がん経験者配偶者(男性)191名を対象として,日本版Zimbardo Time Perspective Inventory(下島他,2012)を用いて調査,検討を行った。その結果,乳がん経験による時間的展望の有意な得点差が確認され,下位尺度を用いたクラスター分析においてクラスターの人数分布に有意な偏りが確認された。本研究の結果から,乳がん経験と時間的展望の関連が示され,時間的展望が変化する要因については,乳がん経験をより詳細に検討していく必要があると考えられた。

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