主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
物理的環境は犯罪不安の喚起や被害リスク評価を行う際に影響を及ぼす要因の一つとして考えられる。本研究は実際に子どもに対する事案の発生が認知された場所に対する環境評価に基づき,犯罪事案と前兆事案との発生地点間の差異を検討した。加えて,犯罪発生地点の画像刺激を用いて,被害リスク評価を調べた。刺激用の地点を選出するため,性犯罪地点(犯罪事案)21ヶ所と声かけ地点(前兆事案)20ヶ所に関して,環境評定項目ごとにカイ二乗検定を行った結果,性犯罪地点では,声かけ地点よりも遮蔽物および危険箇所が多く存在することが示された。これらの結果に基づいて選出された刺激地点に対し,149名の大学生を対象にオンライン調査を通して,子どもを被害対象と想定したときの被害リスクについて回答を求めた。被害リスク評価に対し,地点・性別による2要因分散分析を行った結果,犯罪発生なし地点,声かけ発生地点と性犯罪発生地点の間に有意な差が見られたが,性別および交互作用が有意ではなかった。以上より,犯罪発生なし地点,声かけ発生地点,性犯罪発生地点の順に,被害リスク評価は低くなることが示唆された。