日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PE-014
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5.犯罪・非行
「声かけ」が万引き行動に及ぼす影響—模擬万引き課題を用いて—
*皿谷 陽子平 伸二仲 真紀子
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キーワード: 声かけ, 万引き行動, 感情
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抄録

声かけ(いらっしゃいませ)が万引き行動に及ぼす影響を調べるため,模擬万引き課題を行った(福山大学の倫理審査を経ている)。参加者は同意のもと,課題前に行動基準尺度(永房他,2012),POMS2日本版成人用短縮版,特性罪悪感尺度(大西,2008),課題後にPOMS2,特性罪悪感尺度,模擬万引き課題経験尺度(模擬万引き時に感じる感情:抵抗感等25項目)に回答した。条件は,(1)事物をとる際,声かけの音声が自動的,ランダムに呈示される18名の実験群と,(2)呈示がない17名の統制群であった。また,先行研究で示されている万引き犯の行動特徴を参考に,模擬万引き課題中の,周囲に注意を払うしぐさ,ためらう様子,驚きの回数,および室内滞在時間,商品を隠匿するまでの時間を測定し,実験群のみ声かけの提示回数も測定した。実験群において,声かけ回数と模擬万引経験尺度(抵抗感,スリル感,罪責感,躊躇,罪悪感,怖さ,心配,緊張感)に負の相関がみられた。つまり,声かけ回数が多いほど,抵抗感等の感情が低いといえる。これより,声かけによる効果的な万引き行動の抑止を行うために声かけの文脈を重視する必要性があると考える。

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