日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PI-013
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9.認知
10 Hz聴覚引き込み刺激が注意の瞬きに与える影響
*川島 朋也澁澤 柊花天野 薫
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抄録

注意の瞬きとは,高速逐次呈示される視覚刺激系列(RSVP系列)の中から2つの標的刺激を検出する際,その時間間隔が短い場合に2つ目の標的刺激を正しく検出できない現象である。注意の瞬きには後頭で認められる10 Hz程度のアルファ波が関連していることが報告されている。例えば,Zauner et al.(2012)は課題中の脳波を計測し,見落とし試行でアルファ波の位相が同期していることを示した。本研究では,感覚引き込みの手法によってアルファ波が視覚刺激の見落としと関連している可能性を検討した。Ronconi et al.(2016)のパラダイムを修正した実験1(N =45)の結果,無音条件とランダム音条件に比べ,10 Hzの音刺激をRSVP系列の直前に呈示した場合に注意の瞬きが増大した。実験2(N=44)ではRSVP系列と逆位相の音刺激と4 Hzの音刺激に比べ,RSVP系列と位相が一致する10 Hz音刺激条件の場合に注意の瞬きの増大が認められた。これらの結果は,注意の瞬きの効果が感覚引き込み刺激の周波数および位相に依存して変化することを示すもので,注意の瞬きにはアルファ波の位相が関連していることを示唆する。

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