日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PI-012
会議情報

9.認知
物語読書習慣と社会認知の個人差の関連に関する英日二国間研究
*鈴木 敦命小山内 秀和Liu Chang Hong
著者情報
キーワード: 物語読書, 社会認知, 個人差
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

主に西洋諸国で行われてきた過去の研究では,物語読書習慣(fiction reading habits)が共感や目からの心の読み取りと正の相関を持つことが示されている。この知見の拡張を目指し,本研究では英国と日本において物語読書習慣と種々の社会認知変数との関連を検討した。オンライン調査を実施し,英国人318名,日本人316名からデータを収集した。物語読書習慣は英国版と日本版の作家名再認テストで間接的に測定した。また,社会認知変数としては,目からの心の読み取り,顔表情認知能力,顔からの特性推論,人相学的信念(顔から種々の信念を推論できるという信念),ステレオタイプ受容(ステレオタイプは有用なものだという信念)の測定を行った。英国では,物語読書習慣が好ましい社会認知プロフィールと関連していた(目からの心の読み取りと顔表情認知能力との正の相関;人相学的信念とステレオタイプ受容との負の相関;rの絶対値は.1~.2程度)。一方,日本では,物語読書習慣と社会認知変数との相関はほぼ0だった。英日の差の原因は不明だが,各国版の作家名再認テストに含まれる作家のジャンルの違いが影響している可能性が考え得る。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top