日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PI-015
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9.認知
なつかしい音楽の聴取と刺激集中呈示が単純接触効果に及ぼす影響
*松田 憲杉森 絵里子楠見 孝
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キーワード: 集中呈示, なつかしさ, 遅延
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抄録

刺激反復呈示によって当該刺激への好意度が上昇する単純接触効果において,1つの刺激を連続して呈示する集中呈示よりも,他の刺激と混在させながら呈示する分散呈示のほうが有効であることが示されてきた。しかし松田ほか(2012)は,刺激集中呈示後に遅延を置くことで刺激に対するなつかしさ感情が生じ,その結果として遅延後には分散呈示よりも集中呈示のほうが単純接触効果が大きくなることを示した。本研究は,無意味輪郭図形刺激の分散・集中呈示時と評定時になつかしい音楽(過去のヒット曲)を流して呈示刺激になつかしさ感情の般化を生じさせることで,短期的-長期的単純接触効果が促進されるかを検討した。大学生12名に対して刺激は分散・集中呈示され,呈示回数は3,6,9回のいずれかであった。5分または1週間の遅延後に,参加者には刺激への好意度,親近性,なつかしさ,新奇性の評価を5段階で求めた。結果は,接触5分後の好意度評定では集中呈示は分散呈示と同程度であり,1週間後には集中呈示が分散呈示を上回った。刺激集中呈示による単純接触効果の促進は,なつかしさ感情の喚起のみでは不十分で,接触後のインターバルが必要であるといえる。

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