主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
肌の質感,例えば平滑さやシワなどの特徴は,美しさや信頼性といった顔の印象の判断に影響を与えることが知られている。本研究では顔の質感特徴に対応する画像統計量(質感特徴量)を顔画像から算出し,それが顔の印象とどのように関連するかを検討した。画像ベースの質感編集アルゴリズムにおいて利用されている画像特徴を用いることで,光沢やシワや陰影など,肌質感に対応する様々な質感特徴量を顔画像から計算した。顔画像とその印象評定がペアになったデータセットを使い,質感特徴量と印象評定値の間の相関を検討した。その結果,年齢・支配性・性的二型性・魅力・童顔さの印象評定が,いくつかの質感特徴量と相関を示した。相関係数の値の幅は絶対値で0.11から0.36であった。ただし,魅力評定においては女性顔においてのみ質感特徴量と魅力との相関が見出され,肌質感と印象の関連性には男女差が存在することも示唆された。顔の認知処理において,印象のような高次特性が,少なくとも部分的には,画像が持つ比較的低次の特徴に基づいて計算されていることを以上の結果は示唆する。