日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PI-039
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9.認知
空間的注意は特徴作業記憶よりも物体作業記憶の検索過程においてより強く働く—ERPを用いた検討—
*真田 原行片山 順一
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抄録

本研究は,色や図形などの組み合わせを記憶する物体作業記憶(working memory:WM)と,色または図形のみを記憶する特徴WMの各検索過程において,空間的注意の働き方が異なるのか,事象関連脳電位(ERP)を用いて検討した。特徴WMの検索過程において空間的注意が働くことは,ERP指標(N2pc-like ERP)を用いた研究により示されている。一方で,特徴WMよりも物体WMにおいて,空間的注意がより重要な役割をもつという主張がある。もしこの主張が正しければ,特徴WMよりも物体WMの検索過程において,より強く空間的注意が働くと予測される。そこで本研究は,色のみを記憶する特徴WM課題と色と図形の組み合わせを記憶する物体WM課題を設け,各課題のセットサイズを2個と4個で操作し,それぞれの検索過程におけるERPを計測した。結果,検索過程におけるN2pc-like ERPの振幅は特徴課題より物体課題で増大した。なおセットサイズの影響は見られなかったため,この効果は課題難度では説明されない。これらの結果は,物体WMの検索過程において,特徴WMの場合よりも空間的注意が強く働くことを示した。

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