日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PI-040
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9.認知
皮膚病の既往歴と罹患時の記憶がトライポフォビアに及ぼす影響
*野中 鈴鹿小山 憲一郎伊藤 大輔
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抄録

トライポフォビアとは,穴や物体の集合体を見ることで感じられる不快感を指す。例えば,蓮の花托など,本来害をもたらさないものに対しても生じる反応であり,日常生活に悪影響を及ぼす可能性があるが,効果的な介入法は明らかにされていない。本研究の目的は,トライポフォビアの生起メカニズム解明のため,「集合体から皮膚病を連想し,病原体から自動的な回避行動によって自身を守るために嫌悪が生起する」という仮説(佐々木ら,2017)に基づいて,トライポフォビアを生起しやすい人とそうでない人の違いを検討することであった。大学生61名(男性10名,女性51名,平均年齢:20.4±0.8歳,不明1名)を対象に①皮膚病の既往歴の有無,②罹患時の記憶の有無をそれぞれ独立変数,刺激に対する不快感を従属変数とするt検定を実施した結果,既往歴の有無による不快感に有意差はみられなかったものの[tdf=15.19)=.24 n.s., d=.06],罹患時の記憶が不快感を強める可能性が示唆された[tdf=3.28)=.65 n.s., d=.43]。今後は,皮膚病に罹患する前後の症状の比較など更なる検討の必要がある。

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