主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
本研究は,解決が困難と感じたときの行動特性を把握することを目的としており,今回は,その予備的検討としてアナグラム課題への反応を分析した。アナグラム課題は文字を並べ替えて意味のある単語を形成する課題である。実験では1ブロック15問(制限時間7分)を8ブロック行った。回答を正答試行と誤答試行,さらにパスした試行の三つに分けて比較したところ,回答までの時間(正答:22.6 s vs. 誤答:39.7 s vs. パス:54.4 s)や一文字目への反応時間(16.2 s vs. 27.7 s vs. 45.5 s),さらに文字クリックの間隔時間(3.5 s vs. 5.9 s vs. 7.9 s)が正答試行よりもパス試行で長くなっていた。また,回答中の反応のまとまりを一つの単位として分析を行ったところ,パス試行の多くにおいて文字クリックが一回もされずにパスが選択されている(1059/1393試行,76.0 %)こと,また,回答直前の段階でパス試行と正答試行で違いが顕著になるなどの特徴が見られた。これらの結果から,「わからない」と感じたときの反応の鈍化や回答行動の特徴が示唆された。